「あのさ……犯人は見つかったの？」

久保田が首を横に振って答える。

「まだや。世間では沙希の彼氏さんが怪しいってウワサやで」

大輔が？　予想もしなかった推測に眉をひそめた。ぶっきらぼうだけどやさしそうな大輔は、そんなことをするような人じゃないと思えた。
もう口いっぱいにバンズをほおばる久保田から和宏に視線を移すと、彼は肩で息をついた。

「いいから食え。俺がおごるなんてめったにないぞ。ほら、結菜さんも」

名前を呼ばれ頬を赤らめた結菜が、私を見てハッと動きを止めた。
こんなときに不謹慎だと思ったのだろうな。

「和宏がおごってくれるなんて二度とないことだよ。一緒に食べよう」