ようやく校門を出るころには、私の影は長く伸びた形になっていた。
しびれた頭のまま家へ向かう。
もう、涙は出ていない。
それよりも、どうして沙希が殺されなくちゃいけなかったのだろう。
疑問ばかりが頭に浮かんでいる。

家につくころ、制服のポケットに湿った名刺が入っていることを思い出した。
手に取ると、そこには〈刑事課 係長 鈴木正人〉と記してあった。
さっきの若い刑事の名前だろう。

いつの間にもらったのか思い出せないほど記憶がぼやけている。