潤む視界から落ちた涙が掛布団を濡らしている。
体は素直に反応しているのに、心がついていけてないようで実感がない。
見ると、言葉は悪いけれど刑事の顔はつらそうにも見えた。

「わかりました。私が知っていることを答えます」

「ありがとう」

悲しくほほ笑む刑事に、私は小さく鼻をすすった。
初老の刑事や柊先生、そして山本先生も交えて、私の事情聴取はそのまま保健室でおこなわれることになった。

私は、沙希と連絡がとれなくなった時期や、恋人の名前などを教えた。

そのどれもが、やっぱりリアルじゃなくて、すべてが夢を見ているようだった。