「沙希は……本当に死んだの?」

ひょっとしたら間違いかもしれない、という期待は、悲しくうなずく刑事に打ち砕かれた。

「残念だが、稲垣沙希は亡くなった。何者かによって殺された、と警察はみている」

「殺された? 沙希が? だ、誰に?」

胸が痛い。こんな非日常なことが起きるなんて信じられなかった。
ギュッと片手でシーツを握りしめて尋ねるが、刑事はメモ帳を手に軽く首を振る。

「今、捜査中だ。有川さん、こんな時だが質問に答えてもらえるか?」

「え……」

「それが稲垣沙希を殺した犯人を捕まえるヒントになるんだ」

ぽろぽろ自然に涙がこぼれていく。
沙希が死んでしまった。
『あたし、いつ死んでもいいし』なんて言うから、本当のことになってしまったのかもしれない。
悔しくて悲しくて、だけど信じることなんてできないよ。大事な友達がこの世から消えてしまったなんて、悪い冗談だよね……。