気がつくと、私は白い天井を眺めていた。

顔を横に向けると、窓から丸い夕陽が見える。オレンジ色の光がベッドのそばまで忍び寄っていた。
保健室で寝ているらしい。

さっきのは……思い出すと同時に鈍い頭痛に思わず顔をしかめた。
ベッドに起きあがると、あの若い刑事が丸椅子に腰かけていた。

夢じゃなかったんだ……。
深い絶望にくじけそうになる自分を奮い起こし、刑事の鋭い目をもう一度見た。

「見張っていたんですか?」

「そういうつもりじゃない。先輩がついてろ、って言ったから……」

さっきより勢いのない言葉に私はうつむく。
ジンと痛む胸に泣きそうになるけれど、ちゃんと真実を知りたいと思った。

「あ……和宏は?」

意識を失う前に和宏がそばにいてくれた気がしたけれど……。

「申し訳ないが帰ってもらった」

「そう……」

心細さを忘れるように私は疑問を口にする。

「さっきもうひとりの刑事さんが言っていたことは……本当なのですか?」

「……ああ」