茶色で統一された部屋の右側のソファに校長先生の後頭部が見えた。向かい側には、見知らぬ初老の男性とその部下らしき二十代後半くらいの男性が座っていた。

みんな紺色のスーツを着ているけれど、若い男性のそれはシワがたくさん入っていてくたびれている。
勧められるまま、校長先生の横に柊先生とともに座る。

その男たちの目つきを見て、私にはある考えが頭によぎっていた。
それは何度もさっきから否定し続けた予測。

胸が高く鼓動を打っているのが自分でわかった。
私が座るのを確認すると、

「有川さんですね」

校長先生が口を開いたのでうなずいた。

「この人たちはですね――」

大きくなりすぎた疑問が形になるのを感じた私は「あの」と、校長先生の声にかぶせて口を開いていた。

「……沙希になにかあったのですか?」

周りの全員がギョッとするのがわかった。
初老の男性が、両手を膝の上で組み前のめりになる。

「なぜそう思うのでしょう?」

その言いかたで、私の抱いている予感や不安が現実のものになったのだと理解した。
急に襲われるめまいに、クラクラしながらも自分を必死で保つよう命令した。

今は疑問を解決する方が先だ……。