隣の席にドカッと腰をおろした和宏は、大きなあくびをしている。
久保田に視線を移す。

「そういえばくぼっさん、ENDAのアプリやってるんだって?」

「ああ、あれすごいで。非公認ながら市民しか見れへんっていうのがおもろいやん。最近できたみたいやからあんまり充実はしてへんけど、MOVERはおもしろい」

「動画投稿ってやつ?」

沙希が言っていたことを思い出し尋ねると、久保田は頬の肉をニッと持ちあげてうなずいた。

「そうや。僕も今夜、次の動画を投稿する予定や」

「俺もインストールはしたけど、登録がめんどくさくてやってないや」

久保田に和宏がそう言った。

「私も。なんか個人番号とか入れるのって抵抗あるもん」

苦い顔で言う私に和宏もうなずく。

「非公式のサイトであれはないよな。あれじゃあ個人情報がだだ漏れって感じ」

「本当だね。怖いメールとか来ちゃいそうな雰囲気」

そんな私たちの会話に、久保田がケタケタと笑い声をあげた。