角を曲がると、直樹の家が見えた。

あと少しで香織に会える、と思うとうれしささえこみあげる。

乾という苗字から、〈わん君〉と呼んでくれていた香織……。

今でも愛しくてたまらない。

涙を流しながらも、気づけば俺は笑顔になっていた。


直樹の家の前には数名のカメラマンが張っていた。

別に構わない。

生々しい殺害をメディアが取りあげるころ、俺は香織のそばにいるはずだから。

テレビ局のスタッフらしき人がチラッと俺を見てからあくびをした。