香織を想う。

やさしくていつも笑っていて、だけど芯は強かった香織。

その笑顔は俺をいつだって勇気づけてくれた。

涙がこぼれた。


「あと少しだよ。あと少しで会えるよ、香織」

あふれる涙をぬぐおうともせず、町並みをぬけて歩く。

ポケットの中のサバイバルナイフを確認した。

冷たい感触に、目を閉じてみる。

迷いなんて、少しもなかった。