復讐の手始めに俺は稲垣に近づいた。

稲垣と親しくなるにつれて、彼女への殺意は増した。

香織を見殺しにしたことも忘れ自由奔放に生きている稲垣は、自堕落な生活を送っていた。

学校を休むのも平気で、悪い仲間ともつるんでいる。


ある日、稲垣は笑みを浮かべて言っていた。

『あたし、いつ死んでもいいし』

その言葉は、俺に殺人をおこなわせるには十分すぎる言葉だった。

生きることができなかった香織の死を無下にしている。

柊がアプリを作成したと知ったときの感動は今でも覚えている。

いよいよ柊も復讐をはじめるんだと思った。

アプリに登録させ、位置情報を調べれば簡単に殺せる、そう思った。