「先生はそんな人じゃない。復讐をするなら香織ちゃんを殺した犯人に直接するはず!」

あの柊先生がそんなことをするはずがない。

「座りなさい」

「私は先生を信じたい。
たとえ沙希たちが香織ちゃんをかばわなかったとしても、実際に殺していない人に復讐なんてしない。しかも沙希は生徒なんだよ?」

一気に言ってから、周りの視線を感じ私は力なく椅子に座った。

「お前の気持ちはわかる。だが、聞いてくれ」

鈴木刑事は悲しい表情を浮かべている。

「柊我音は、佐々木香織の死後そうとう荒れていたそうだ。
ストーカーから守れなかった罪悪感から何度も自殺未遂も繰りかえしている。そんな悲しみが怒りに変わったとしても不思議じゃない」

「でも……」

「死の原因を探るなかでこの日記帳を見つけたんだろう。
佐々木香織が110番した際の記録や、稲垣沙希や井口大輔の証言も知ってしまった。
それらは彼の部屋にあったメモに残っている」

こらえていた涙は、あっけなく頬を伝った。

ぽろぽろではない、次から次へと流れては落ちた。