読み進めていくと、日に日にストーカーの行動がエスカレートしていく。
身勝手な執着は、攻撃となりどんどん香織の心を弱めていく。

「あ……」

思わず声をあげた。それは香織が精神科に入院したという日の日記。

「この病院が、二方原病院なのね」

黙ってうなずく鈴木刑事に指がピタリと止まった。
まるで船底に水がはいってくるように、恐怖が頭を支配していく感覚。


ひょっとして……。

頭を軽く振り、とにかく先を読み進めた。

日記は、香織が『私の妄想なの?』という疑問の箇所で終わっていた。
そのあとのページは空白が続いている。

日記を閉じた私の心は、大きく波打っていた。

「これは、あの二方原病院で起きた被害者の日記だ」

鈴木刑事の言葉にめまいがした。