顔をあげると鈴木刑事はまだ苦しそうな表情で反対側から日記の文字を眺めていた。

「四年前に中学一年生……。ということは、この香織ちゃんは私と同じ年ってこと?」

「……そうなるな」

ページに戻ると、中学生ならではの初々しい日々の記録がつづられている。
しばらくは鈴木刑事がいることも忘れ、日記を読みふけった。

当初は恋人である〈わん君〉との恋愛について終始していた日記も、次第に謎の手紙が届くようになり、不穏な空気となってゆく。


「赤い手紙……」

「ああ。封筒も便箋までもが濃い赤色の手紙だ」

ハッと鈴木刑事を見る。

「じゃあアプリの裏BBSも、殺害現場に置いてあった手紙もこれが大元ってこと?」

「おそらくな」