「でも」と鈴木刑事が口を開いたとき、学生らしいウェイトレスがオーダーを取りにきた。
私はドリンクバーを、鈴木刑事はポテトを頼んだ。

ウェイトレスが行ったのを確認し、鈴木刑事は周りに聞こえないように顔を近づけてくる。

「アプリを作ったことまでは認めているが、連続殺人については口を割らない。
割らないどころか、その話になると黙秘を決めこんでいる」

「じゃあ、柊先生が犯人じゃないってこともありえるの?」

身を乗り出して言う私。わずかな光が見えた気がした。

柊先生が人を殺すなんてありえない。
沙希のことも心配してくれていたし、続く事件に心を痛めていたのもウソじゃないと思いたかった。

でも鈴木刑事はゆっくりと首を横に振る。

「残念ながら、柊には動機があるんだ」

「動機?」

「柊我音・稲垣沙希・井口大輔・藤本昌代、そして有川直樹。
この五人には、ある人物を通じての共通点があったんだ」

頭を高速回転させ必死で考えても、関係性は見つからない。