もう、心と体はバラバラになっているみたいで、この数日間はいろんな考えが頭をグルグル回っていた。

鈴木刑事に連絡をすることもなく、混乱したまま冬休みに突入した。

和宏からは何度も連絡がある。私が柊先生をまだ好きだと思っているからなのか、やさしい言葉をたくさんくれた。


「もうあのアプリは閉鎖したんだね?」

柊先生の逮捕と同時にアプリは削除されてしまい見ることができなくなっていた。

「まあな」

「アプリを作ったのは、本当に柊先生だったの?」

この一週間で一番聞きたかったことを、ストレートに尋ねることにした。
鈴木刑事は「ああ」とうなずく。

「間違いない。柊の自宅のパソコンのデータには、海外のアプリ作成業者への依頼文が見つかった。
その後も細かなやり取りをすすめ、実際に金を払った証拠も押さえた」

「本当に柊先生が犯人なの? 
ひょっとしたら真犯人によって今ごろ裏BBSが更新されていたかもしれないじゃん」

プラスチックコップに入ったぬるい水で唇を湿らせる。
けれど、鈴木刑事は軽く首を振り私の望みを断ち切る。

「いや、柊はアプリを作成したことは認めたよ。
出来あがったアプリにあとから裏掲示板を開設したんだろう。
すべては今回の連続殺人を実行するため、と警察はみている」

「そうなんだ……」

覚悟していたが、やはり相当ダメージを受けた。
テレビゲームなら『GAME OVER』の文字が浮かんでいるかも。