柊先生の逮捕は、すぐさま人々の知られることとなり大々的にニュースでも報道された。

世間を騒がせた連続殺人の犯人が柊先生であることに、誰よりも学校関係者が驚いていた。

全校集会の映像のはしっこに映っていた柊先生を拡大した映像を、もう何度も見た。

それはあの夜、私と和宏を尾行していた映像と重なる。

重要参考人という姿勢を崩さずにいる警察に対し、マスコミはなんとか彼の人柄や過去を暴こうと走り回っている。


ようやく一息ついた鈴木刑事がガブッと水を飲むと、

「大丈夫か?」

とそっけなく言った。

「大丈夫なわけないじゃん」

ムスッとした表情のまま私も水を飲む。


本当なら大阪に避難する予定だったけれど、柊先生の逮捕という予想外の出来事に誰よりも私がそうすることを拒んだ。

直樹の名前が予告されていたことを知ったマスコミから、私も連日追われている。
直樹にいたっては、しばらく有休をつかって家に閉じこもることになってしまったくらいだ。

「そうだよな」

つぶやく鈴木刑事が前よりも痩せて見える。
寝不足が続いているのだろうな。

「この間はすまなかったな」

それが学校に送ってもらう途中で消えたことなのか、それとも柊先生を逮捕したことなのかがわからずに私は黙った。