お父さん、お母さん、お兄ちゃん、そして……わん君。

もう一度、わん君に会いたかった。

どこでわたしは間違えたのだろうね。

正解があったとしたら、誰が教えてくれるんだろう。


口の中に広がる血の味は苦く、それすらもどんどん遠ざかっていく。

遠くにサイレンの音が聞こえた気がした。

音も色も世界もすべてがどんどん遠くへ消えていく。

目を閉じれば涙だけが温かった。


さようなら、わん君。

さようなら、わたし。