一瞬、頭のなかが真っ白になった。
ひいらぎわおん……って柊先生のこと? どうして……?

冗談かと打ち消す言葉を待つけれど、鈴木刑事は顔を逸らせてしまった。

「あのアプリを作成したのは、柊だった」

「……ウソでしょう?」

「間違いない。それに井口が殺害された夜、有川たちを尾行していたのも、解析の結果、柊だと判明した」

「そんな!」

声を荒げたその時、再び足音が重なって聞こえた。
上の階から、警察官に伴われた柊先生がおりてきたのだ。

「先生!」

駆け寄ろうとする私を、鈴木刑事が遮る。

まるで生気がぬけたように階段を一段ずつゆっくりと降りてきた柊先生が、私を見て目線を伏せた。

「ウソだよね? ね、ウソでしょう!?」

腕を伸ばそうとしても、鈴木刑事の強い力に動けない。

「有川、すまない……」

そう言い残すと、柊先生は自ら階段をおりて行く。