教室に入ると、和宏と久保田がすでにいた。

私を認めると、いつものように朝の挨拶をしてくれた。
和宏から聞いたらしく、久保田がなにか声をかけてくれたけれど、ぼんやりした頭ではよくわからなかった。

私はふたりに藤本の職場がわかったことについて話をした。

「二方原病院ってなんのことや?」

大きな声で尋ねる久保田に、「シーッ」と口に指を当てた。大阪からきた久保田は知らない様子で、だけど説明している時間はなかった。

「放課後、トムトムバーガーで説明するから」

授業中も眠くなることはなく、先生に隠れて何度も直樹にメールをした。

【退屈でたまらん】【母さん到着】【移動開始】など短い返事でも無事でいることがわかってホッとした。