「吉田さんは、鈴木さんの上司ですか?」

「いやいや。年齢だけは上ですが、彼のほうが立場はずっと上です。数々の事件を解決している名刑事ですから、私も尊敬しております」

へぇ、と感心してしまう。俺様で失礼な人だと思っていたが、実績はあるようだ。


校門が見えてきた。ここまでくれば大丈夫だろう。

「じゃあエリートって感じですね」

そう言う私に、吉田刑事は足を止めて「いや」と言う。

「その逆ですよ。鈴木刑事ほど苦労して刑事になった人はいませんから」

「へぇ……」
「鈴木刑事は元々、この町の中央署に勤務している警察官でした。途中で刑事に転向したんです。昔はスリムなイケメンで有名でしたよ」

「スリムなイケメン?」

今はどちらかと言えばラガーマンみたいなのに?

「余計なことを言いました。では、くれぐれもお気をつけて」

吉田刑事はそう言うと、敬礼をして去って行った。