学校へ向かっていると、鈴木刑事の携帯電話が大きな音で鳴った。

「はい、鈴木です」

私は、ぼんやりと周りの景色に視線を移す。
今頃お兄ちゃんはホテルの部屋にいるはず。
もう一度確認をしようかな……。

スマホを取り出してロック画面を解除していると、

「なんだって!?」

鈴木刑事の声がにわかに険しくなった。

なにか、また起きたの?
心臓が大きく跳ねた。

まさか、直樹の身になにかが……。

鈴木刑事の電話が終わるのを今か、今かと待ち続けた。
時間が長く感じて仕方がない。

ようやく電話を切ると、鈴木刑事はすうと息を吸った。

「藤本が看護師として勤務をしていた最後の職場がわかった」

全身から力が抜けるのがわかり胸をなでおろした。

「二方原病院は知っているか?」

「あぁ、町外れにある精神科病院だよね……」

「彼女はそこを三年前に辞めているらしい」

ふいに胸にざわざわとした感触が生まれた。