「杏ちゃん、今年のクリスマスプレゼントはなににするの?」

尋ねるわたしに、杏子は首をかしげた。

「なに言ってるの、香織ちゃん。クリスマスは今日だよ」

「え……。そ、そうだったね」

気づかないうちにもう二十五日になっていたなんて……。動揺に気づかれぬよう笑みを浮かべた。

「そうだったね。なにかお願いしたのかな?」

「うん。杏ね、プレゼントはずっと前にお願いしてたんだ」

杏はうなずくと大きなぬいぐるみのうさぎを両手でギュッと抱いた。

「杏、がんばったから心の病気が治ったの。だからね、退院することがプレゼントなの。お父さんのお仕事の都合で、あさって退院なんだよ」

弾けるような笑みで杏は言った。

「そっか、おめでとう。わたしからも遅くなるけどクリスマスプレゼントあげるね」

そう言ったわたしに、杏子は一瞬目を丸くしてから腰のあたりに抱きついてきた。

「うれしい。香織ちゃん、おうちまで会いにきてくれるの?」

わたしはまだ退院できないし、それはかなわない願いだろう。