「沙希……私、知らなくて……。ごめんね」

「なんで芽衣が謝るのさ。あたしがバカだったんだよ。もうこの話はおしまい」

「うん」

鼻をすする私に、ふっと息を吐いた沙希。

「あたしさ、うまく言えないけど……芽衣と会えてよかったなって思ってる」

「え?」

「ほら、あたしこんなだし、クラスでも浮いてるじゃん。それなのに芽衣は普通に話をしてくれてるでしょ? 芽衣がいたから、学校にちゃんと行こうって思えたんだよ。これ、マジだから」

「……そんな別れの挨拶みたいに言わないでよ」

そう言う私に沙希は「たしかに」と言って笑った。

私も笑いながらも、さっきとは違う涙があふれそうになっている。


ひとしきり笑ったあと、沙希は「ねぇ」と言った。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なに?」

「猿田市のアプリって知ってる? ENDAってローマ字で書く名前のアプリなんだけど」

思わず眉をしかめてしまう。なにこれ、以心伝心?