「これは……」

何度も画面を繰り返し見つめた。
有川直樹……兄の名前が小さく画面に表示されている。
なにかの間違いだろうと、リロードしてみても変わってくれない。

「ウソでしょう……。どういうことなの?」

まるで長距離を走ったみたいに鼓動が激しい。

「お兄ちゃん!」

呪縛から解けた私は、急いで直樹の部屋へ行き乱暴にノックをした。
反応は、ない。ドアを開けると真っ暗な部屋にその姿はない。
あわてて階段を駆けおりると、

「なぁに、大きな声出して」

と、母が横になってテレビを見ていた。ここにも直樹はいない。

「お、お兄ちゃんどこいったの!?」

説明ももどかしく尋ねると、母は「うーん」と伸びをした。

「今日から出張って言ってたじゃない。日曜日まで帰らないわよ」

「どこに!?」

「大きな声出してどうしたのよ。確か……名古屋じゃなかったかしら」