家に帰っても、ずっと久保田に言われたことばかり考えてしまう。
もう早々に寝てしまおうと、夕飯のあとベッドにもぐりこんでも眠気は訪れない。
柊先生を好きだった過去が、まるでウソみたい。今ならわかる、あれは恋じゃなくて憧れだったんだと。

本当に誰かを好きになるってこんなに苦しいことなんだ。
友達関係で結ばれただけでもよかったはずなのに、なんで和宏ともっと話をしたいって思うのだろう。なんでそばにいたいと願うのだろう。
誰にも言えずに、想いが枯れるのを待つだけなんてそんなの悲しすぎるよ。

結菜も久保田も同じ気持ちを抱えて苦しんでいる。
だとすれば、恋は人を苦しめるだけのものなのかもしれない……。


一度は消した電気をつけ、加湿器からあふれている白い煙を見ながらぼんやりする。
和宏は今ごろなにをしているのだろう。

窓の外には夕方から降り出した雪が夜の黒色のなか舞っている。
同じ雪を見ていればうれしいな。
もし電話でもきたら想いを伝えてしまいそうな夜。