12月 ?? 日(?)
今は、夜の10時。
いつ殺されるかと考えると、なにもできない。
あのあと、お兄ちゃんやわん君たちに電話をかけまくったことで、ついに藤本さんに携帯電話すら取りあげられてしまった。
なんとか返して欲しくて、ナースステーションに向かった。
夜のろう下は暗くて、ステーションまではやけに遠く感じた。
もうずっと頭が痛い。
今日の夜勤は藤本さんだったはず。
ムリにでも自分の間違いを認めて、携帯だけは返してもらおう。
ステーションの明かりがみえてきた。
藤本さんが、同じ夜勤のヘルパーさんと話しているのが聞こえたの。
「――香織ちゃんが」
そう言っているのが聞こえた気がして足をとめた。
藤本さんの声だ。
そっと聞き耳をたてる。
「だから、あの子おかしいのよ。極度の被害モーソーってやつね」
「ストーカーに悩まされているんでしたっけ?」
「すべての男性がストーカーに感じちゃうみたいでね。ここのなかにまで入ってくる、って騒ぎだしちゃったの」
「それはないでしょう」
クスクス笑う声。
「この間だって、電話の相手をストーカーだと勘違いしちゃってさ、もう泣くわ騒ぐわで、ほんと大変だったんだから」
「へぇー、それはすごいですね」
「あれは重症ね。服薬変えてもらわないと、これからもっと大変になるわよ」
今は、夜の10時。
いつ殺されるかと考えると、なにもできない。
あのあと、お兄ちゃんやわん君たちに電話をかけまくったことで、ついに藤本さんに携帯電話すら取りあげられてしまった。
なんとか返して欲しくて、ナースステーションに向かった。
夜のろう下は暗くて、ステーションまではやけに遠く感じた。
もうずっと頭が痛い。
今日の夜勤は藤本さんだったはず。
ムリにでも自分の間違いを認めて、携帯だけは返してもらおう。
ステーションの明かりがみえてきた。
藤本さんが、同じ夜勤のヘルパーさんと話しているのが聞こえたの。
「――香織ちゃんが」
そう言っているのが聞こえた気がして足をとめた。
藤本さんの声だ。
そっと聞き耳をたてる。
「だから、あの子おかしいのよ。極度の被害モーソーってやつね」
「ストーカーに悩まされているんでしたっけ?」
「すべての男性がストーカーに感じちゃうみたいでね。ここのなかにまで入ってくる、って騒ぎだしちゃったの」
「それはないでしょう」
クスクス笑う声。
「この間だって、電話の相手をストーカーだと勘違いしちゃってさ、もう泣くわ騒ぐわで、ほんと大変だったんだから」
「へぇー、それはすごいですね」
「あれは重症ね。服薬変えてもらわないと、これからもっと大変になるわよ」