「結菜……ごめん」

「なんで芽衣が謝るのよ。私が勝手に好きになって、勝手に告白しただけ」

そう言った結菜は泣いているようだった。あごのあたりが細かく震えていた。

「芽衣も好きなんでしょう?」

「うん……」

「だと思った。ううん、最初からそんな気がしていた。私の片想いは絶対にかなわない、って」

スッと立ちあがった結菜が肩で大きく息をついた。

「本当なら芽衣を応援したい。そうすべきだって、ここにくるまでの間もずっと言い聞かせてきた」

もう結菜は私のほうを見ようともせず、公園の奥のほうをじっと見つめている。

「映画ならここで仲直りして、またいつものようにはしゃぎあって……。そんなことわかってる。そうすべきだってわかっている。でも、できないよ……」

「結菜、本当にごめんなさい。私、ずっと自分の気持ちに気づかなかったの」

ベンチから立ちあがった私を避けるように、結菜は数歩前に逃げる。体全体で拒否されているように感じた。

「私に気持ちを言うってことは、和宏くんとつき合うってこと?」

「違う、そんなつもりはないよ。今は事件のことで頭がいっぱいだし。まだきっと和宏のこと、好きになりはじめたばかりだと思うから」

「ふうん」

土を鳴らして振りかえった結菜はまっすぐに私を見つめた。

「ほんと、芽衣ってずるいね」

「え……」