夜の公園で結菜と待ち合わせたのはその日のこと。

メッセージを送ったのは私。話をしたいと言うと、彼女は数秒黙ってからこの公園を指定してきた。
遅れてきた結菜はまだ制服のままだった。

「こんな時間にごめんね」

謝る私に、結菜は固く唇を閉じてうなずくだけ。

誰もいない小さな公園のベンチに座ると、夜の風は刺すように頬をなでていく。
話をしたかったはずなのに、いざとなると言葉が出てこなかった。

しばらくシンとしたまま、私は雪が去ったあとの曇り空を見ていた。星も月も隠れている夜は、毎日の不穏な空気にどこか似ていた。