口がカラカラに渇いていた。

「いいか、よく聞け。お前だけは生かしておけない」

そう言われた。

「こんなに愛していたのに! これほど、毎日毎日想いつづけていたのに!」

最後のほうは絶叫だった。
正気だとは思えなかった。
藤本さんが向こうで他の看護師さんとお話をしている。
助けを求めたかったけれど体が動かなかった。
助けて、って何度も心で叫んだ。

「香織、お前は俺と一緒に死ぬんだ。近いうちにな!」

ブツッと音がして、電話が切れた。

わたしはその場で大声で泣き崩れた。