目が覚めたとき、わたしはベッドに寝ていた。
トイレのドアのところでわたしは倒れていた、と藤本さんが教えてくれた。
男のことを何度も説明したのに、藤本さんは信じてくれなかった。

「そんなわけないでしょう。あのボランティアの人たちはちゃんとしたところからきているんだから」

でも、わたしは確かに聞いたの。
あの男のしゃべりかたや息づかいまでリアルに覚えているのに、藤本さんは軽く聞くだけ。

「貧血で倒れて、その間に夢をみたんじゃないのかな」

肩をすくめてそう言った藤本さん。
少し嫌いになっちゃった。