沈黙を破るように、スマホが鳴り出した。鈴木刑事からだったので、慌てて立ちあがる。
逃げるように二階へ駆けあがった。通話ボタンを押すと、鈴木刑事の低音が聞こえた。

「有川か?」

「はい。あ、さっきはごちそうさまでした」

聞こえないように洟をすすって涙を拭った。

「話があるんだ」

その声にくらりとめまいのような感覚に襲われた。

「まさか、藤本って看護師さんまで……」

「違う。その藤本昌代について話をしておこうと思ってな。さっきはみんなの手前、ちゃんと伝えられなかったから」

外にいるのだろう。電車の踏切音がカンカンと聞こえている。

「え……いいの?」

「お前は捜査に協力してくれているからな。他のメンツにはばらすなよ」

「もちろん」

ベッドの上にあぐらをかいて座り、心を落ち着かせた。