渋々椅子に腰かけて、私は直樹に裏BBSを見つけてもらってからのことを話した。その間、直樹は炒めた野菜に甘酢餡をかけたり、白菜の煮びたしを作ったりしていた。
たった二カ月のことなのに、話をしている間に夕食がはじまり、そして終わった。
「……なるほどな。そんな大変なことになってるのか」
お茶のお代わりを淹れてくれた直樹がため息混じりに言った。
「うん。だから、今は第三の犯行をなんとか阻止しようとがんばっているわけ」
「なに言ってるんだ。芽衣、お前はもう関わるな」
「ダメだよ。だって、このままじゃ――」
「ばかなことやめろ! そんなのん気なことを言っている場合じゃないだろう。犯人にも気づかれているんだから。そのなんとかっていう刑事にも釘を刺されたばっかりだろ」
〈 邪魔になるならば誰だって始末するつもりだ 〉
あの書きこみは、私と和宏に向けて書かれていた言葉だとわかってはいる。湯呑を置くと、私は直樹を見た。
「私は沙希の事件の真相を知りたいの」
「ダメだ。絶対にダメ。聞いた限りだと、相当な恨みを持っている犯人だろうし、危険すぎる。今後、そういう活動は禁止する」
机をドンと叩く直樹。久しぶりに怒っているところを見た気がした。
だけど……。
「沙希は私の友達なんだよ。もっとずっと一緒にいたかった。たくさん話もしたかった。なのに……もういないの」
ジワリと涙が滲むのも構わずに私は続ける。
「お兄ちゃんも大好きだった人を亡くしたんだよね? だったら私の気持ちもわかってよ。やるせないの。なんとかしたい、って気持ちばっかりでどうしようもないんだよ」
ボロボロと涙をこぼす私に、直樹はなにも言わなかった。
たった二カ月のことなのに、話をしている間に夕食がはじまり、そして終わった。
「……なるほどな。そんな大変なことになってるのか」
お茶のお代わりを淹れてくれた直樹がため息混じりに言った。
「うん。だから、今は第三の犯行をなんとか阻止しようとがんばっているわけ」
「なに言ってるんだ。芽衣、お前はもう関わるな」
「ダメだよ。だって、このままじゃ――」
「ばかなことやめろ! そんなのん気なことを言っている場合じゃないだろう。犯人にも気づかれているんだから。そのなんとかっていう刑事にも釘を刺されたばっかりだろ」
〈 邪魔になるならば誰だって始末するつもりだ 〉
あの書きこみは、私と和宏に向けて書かれていた言葉だとわかってはいる。湯呑を置くと、私は直樹を見た。
「私は沙希の事件の真相を知りたいの」
「ダメだ。絶対にダメ。聞いた限りだと、相当な恨みを持っている犯人だろうし、危険すぎる。今後、そういう活動は禁止する」
机をドンと叩く直樹。久しぶりに怒っているところを見た気がした。
だけど……。
「沙希は私の友達なんだよ。もっとずっと一緒にいたかった。たくさん話もしたかった。なのに……もういないの」
ジワリと涙が滲むのも構わずに私は続ける。
「お兄ちゃんも大好きだった人を亡くしたんだよね? だったら私の気持ちもわかってよ。やるせないの。なんとかしたい、って気持ちばっかりでどうしようもないんだよ」
ボロボロと涙をこぼす私に、直樹はなにも言わなかった。