「そうなんだ。作成を依頼された企業名まではわかったが、まだまだ問題は山積みなんだ」

うなるような声を出す鈴木刑事。

「そこまでわかったならあと一歩だね。やるじゃん」

珍しく褒めたのに鈴木刑事は口をへの字に曲げた。

「それがそうもいかなくてな」

「そうやろうな」

パフェ組が揃って腕を組んだ。鈴木刑事は言う。

「外国の企業から作成者情報をもらうには、気の遠くなるほど何段階もの手続きが必要なんだ。簡単に情報を漏らしたとなったら企業のイメージダウンにもつながるからな。つまり、許可を得るのは大変ってことだ」

「頭のいい犯人やなぁ。計算ずくってことか」

感心したようにうなずく久保田。

「とにかく君たちは大人しくしておくこと。わかったな?」

君たち、と言いながらも鈴木刑事はまっすぐに私を見て言った。
しぶしぶうなずきながら、この事件はまだ続いていることを理解した。
犯人は藤本を本当に殺すつもりなのだろうか……。
クリスマスの曲が耳にざらりと聞こえていた。