ガラッ
教室の前の扉が開く音に視線をやると、柊先生が入ってきたところだった。山本先生の休みが長引き、柊先生が仮の担任となって久しい。
「もう帰れよ」
そう言うと、柊先生は窓のカギが締まっているかチェックしている。
「はい」
答えたのは結菜のほうだった。私はうなずくだけ。
あんなに強かった柊先生への気持ちは、もう残っていなかった。冷めたというのではなく、もっと強い気持ちにかすんでしまった感じがしている。
柊先生が出て行ったあと、しばらく黙っていた結菜が「ねえ」と私を見た。
「芽衣は、柊先生のこと、もう好きじゃないの?」
「え……」
「前までは先生のことを見かけたらすぐに飛んで行ってたのに、最近はそうじゃないから気になっていたの」
鋭い結菜に意識せずに大きく息をついていた。
「沙希のことがあってから、そういう気持ちになれないんだ」
半分は本当で、半分はウソ。和宏のことは頭から離れないまま、もう十二月になってしまっている。
教室の前の扉が開く音に視線をやると、柊先生が入ってきたところだった。山本先生の休みが長引き、柊先生が仮の担任となって久しい。
「もう帰れよ」
そう言うと、柊先生は窓のカギが締まっているかチェックしている。
「はい」
答えたのは結菜のほうだった。私はうなずくだけ。
あんなに強かった柊先生への気持ちは、もう残っていなかった。冷めたというのではなく、もっと強い気持ちにかすんでしまった感じがしている。
柊先生が出て行ったあと、しばらく黙っていた結菜が「ねえ」と私を見た。
「芽衣は、柊先生のこと、もう好きじゃないの?」
「え……」
「前までは先生のことを見かけたらすぐに飛んで行ってたのに、最近はそうじゃないから気になっていたの」
鋭い結菜に意識せずに大きく息をついていた。
「沙希のことがあってから、そういう気持ちになれないんだ」
半分は本当で、半分はウソ。和宏のことは頭から離れないまま、もう十二月になってしまっている。