二階の部屋に入りカバンをベッドに放り投げると制服を脱ぎ捨てる。
いわゆるセーラー服というやつだが、正直好きなデザインではない。
十月になる明日からは冬服に変わるけれど、ねずみ色でもっと好きじゃないんだよね。

ジャージに着替えると、ベッドに横になってスマホを取り出す。
直樹は凝り性だから、きっと今ごろ野菜を細かく刻んでいるころ。
呼ばれるまで和宏が言っていたアプリをダウンロードしてみよう。

アプリストアを呼び出し、検索画面で〈猿田市〉と打ちこむ。
一瞬で検索結果が画面にならんだ。

〈猿田市役所〉にはじまり、いくつかのアプリが表示されているが、和宏の言っていたものはなかった。

「ふむ……」

今度は検索文字を〈ENDA〉にして検索してみる。
先頭に探していたサイトらしきものを見つけた。

説明に〈猿田市民のための非公式アプリ〉と記してある。
〈無料〉と大きく記されていて、アプリ内の課金もないようだ。

インストールボタンを押してしばらくはまぶしい天井とにらめっこする。
一日の疲れが押しよせ、だんだんと眠気に変わっていくこの時間が好き。