「あの裏BBS、更新されてるん違う?」 

和宏がうなずく。

「犯人がなにか書いているかもな」

久保田君が代表で椅子に座り、私と和宏がうしろに位置を取りスマホを開く。周りの客が不思議そうな目で見てくるけれど、そんなことかまってられなかった。

「稲垣と井口さん、ふたりに恨みを持ってるヤツって誰なんだろうな」

画面に目をやりながら和宏が口にした。

「沙希は見た目は派手だけど、人から恨みを買うようなタイプじゃなかったと思う」

そう言った自分の口をハッと押さえた。
私、沙希のことを過去形にして話してる……。こんなに悲しいのに、私もまたみんなと同じように沙希のことを忘れようとしているの?

「犯人がふたりを殺す動機がおかしいと思うんねん」

久保田の声にこみあがってくる涙をこらえた。
隣の和宏が身を乗り出し、

「ちょっと声がでかいぞ。みんながチラチラ見てる」

と注意したので私たちはさらに体を引っつけた。