角を曲がって学校への一本道に差しかかったころ、一気にこらえていた涙がこぼれた。

「ごめんね……。私、ぜんぜんダメだ。沙希の事件を解決したいのになにもできないどころか、足ばっかり引っ張っている」

「そんな都合よくヒントなんて落ちてないさ。とりあえず無事でよかったよ」

和宏はやさしい瞳で私を見てくれていた。

「うん」

「それに俺も実は今日学校をサボろうと思ってたんだ。あのあと、緊張していたのか全然眠れなくってさ」

「え、そうなの?」

たしかに目の下にはクマが濃く浮き出ていた。みんな寝不足なんだな……。

「でも、くぼっさんや結菜さんからお前がパトカーで連れて行かれたって連絡がきてさ。慌てて警察署に向かっていたところだった。見つけられてラッキーだったよ」

ラッキーなのは私のほうだよ。いつだって和宏には助けられている。

「なあ、あのレポーターが言ってたことって本当か? 井口さんが殺されたって……」

「うん」

「……そうか」

それから、校門につくまで和宏は黙っていた。

「戻ったら普通にしろよ。みんながおかしく思うから」

「わかった」

「みんな有川のこと、なんかの事件の容疑者だって思ってるみたいだぞ」

「えー、やだなぁ」

ようやくすねた顔を作れるくらいまで回復していた。和宏のおかげだ。