「遅いから迎えにきた。てかおばさん、早く腕を離せよ」

「あなた誰よ」

ムッとした表情で腕を離したリポーターから逃れ、和宏のそばへ駆け寄った。

「今のをもし放送したなら、俺が撮影した動画もネットで拡散するからな」

「なっ……」

「タイトルは『女性リポーターによるインタビュー強要の証拠』ってのはどう?」

スマホを操作し、ポケットに滑らせた和宏。憎々し気な顔をした女性リポーターは、しばらく固まってから肩をすくめた。

「使わないわよ。その代わり動画を消しなさい」

「やだね。大人はウソばっかつくから。芽衣、行こうぜ」

歩き出す和宏について歩き出せば、取材班はあきらめたように背を向けた。