パトカーで送る、という鈴木刑事を振りきって歩く帰り道。
私のことを容疑者だと疑っているなんてひどすぎる!
怒りに身をまかせて歩くけれど、次第に落ちこむ気持ちが大きくなってくる。

駅前のベンチに力なく座ると、大きくため息をついた。
たしかにふたりの共通点は私くらいだし……。間違って逮捕されるなんてこと、ないよね?

ああ、大輔が殺されたというのにまた自分のことばっかり考えてしまっている。
沙希のことが大好きだった大輔。せめてあの世で沙希に再会できているといいな……。

どうしてこんな悲しいことばっかり起きるのだろう。

知っている人がこの二カ月でふたり亡くなっているなんて、まだ信じられない。そのどちらとも亡くなる前に私は話をしている。
それなのに、止めることができなかった。

「ごめんね、沙希……そして大輔さん」

沙希を殺した犯人を見つけるどころか、沙希の大事な人すら守ることができなかった。
結局私は無力で、なんの役にも立てていない。沙希が生きていたときと同じだね。