「和宏も警察に呼ばれるの?」

「いや、有川からの話の裏付けをするだけだから、あとで学校に行くよ。付近の防犯カメラもチェックする」

「大輔さんはどうやって殺され……」

言葉が続かずに途切れてしまう私を見て、

「井口大輔の死亡時刻は午前二時ごろだそうだ」

と鈴木刑事がくみ取ってくれた。

「ナイフで心臓を刺されていた。即死だったろうよ」

ぶるりと体が震えた。私と和宏が家を出るのがもう少し遅かったなら犯人と顔を合わせていたかもしれない。

「やっぱり、現場には赤い手紙があったの?」

気になっていたことを尋ねると、鈴木刑事は小さくうなずいた。そして、少し迷うそぶりをしてからスマホの画面を見せてきた。
そこには真っ赤な封筒と便箋が映っていた。便箋の中央には〈判決:死刑〉とパソコンで打ってある文字も見える。
裏BBSに書かれていた内容だ……。文字で見るよりもリアルな世界に息を呑んだ。
その一方で違和感が芽生えた。

「大輔さんが見せてくれた裏BBSへ誘導する手紙はなかったの?」

「それはなかった」

「あの時、『ポストに入ってた』って見せてもらった手紙はこんなに真っ赤じゃなかったと思う。金色の縁どりがあった気もするし……」

和宏にもした説明をもう一度するが、

「まあ、予告には違う便箋を使ったのかもしれないな」

さして気にした様子のない鈴木刑事。