前に話をした部屋に通されると、鈴木刑事はノートパソコンを前に置き両手をキーボードにのせた。

「井口の家に行ったのは何時ごろ?」

「……夜の11時くらい。裏BBSに気づいたのはたしか……10時前とかだった気がする」

「くそ。俺が電話に出ていれば」

苛立つように強くキーボードを叩く鈴木刑事が、自分を落ち着かせるように深呼吸をした。

「部屋を出たのは何時ごろかわかる?」

「ええと」記憶を辿りながら、

「たしか12時を過ぎたころだったと思う。そのあと、和宏が送ってくれたの」

昨夜の出来事を話す私に、メモを取りながら鈴木刑事は最低限の相づちだけをした。
つい数時間前の出来事なのに、ずいぶん前のように感じる。