「なんでパトカーなのよ! しかも無理やり押しこむなんて、これじゃあ犯罪者みたいじゃない」

動き出した車内で文句を言うが、鈴木刑事は難しい横顔を崩さない。

「しょうがないだろ。覆面パトカーは出払っているんだから」

「それにしてもひどい扱いだよ」

ブツブツ文句を言う私に、鈴木刑事はやれやれと息をついた。

「この町でこんな大きな事件が起きるのは久しぶりなんだから大目に見ろよ。ちゃんとパトカーのことも学校に言っておくから」

ようやく落ち着いた私は、今の状況に改めて疑問を覚えた。

「本当に大輔さんは殺されたの?」

「間違いない。遺体の確認も終わっている」

「そんな……あれほど注意するように言ったのに」

うしろのシートに沈みこむ私に、鈴木刑事はなにも言ってこなかった。
車は朝の渋滞を抜け、やがて警察署に到着した。