胸元から革製の手帳を取り出した鈴木刑事は、悔しそうに唇をかむ。

「裏BBSに予告がまたあったんだ。井口大輔の殺害予告だった」

「うん……」

うなずくと、鈴木刑事は一瞬いぶかしげな顔になってから、手帳に視線を戻した。

「うちのチームが気づき、自宅のマンションに駆けつけると部屋のドアが開いていた。中で井口が倒れていたそうだ」

ショックのあまり頭が真っ白になる。
気づけば塀にもたれるように立っているのがやっとだった。登校している生徒たちがいぶかしげに私たちを見ている。

「それってさ……何時ごろの話なの?」

「夜中の三時半ごろだな」

手帳に目線を走らせて言う鈴木さんを横目に、「ああ」とため息が漏れた。