全力で好きアピールをしている私と、想いを隠さなくちゃいけない結菜の違いはなんだろう?

恋というものは知れば知るほどに複雑なようだ。


「……しかし、あれだな」

和宏が腕を組んで私を見た。

「芽衣は本当に柊が好きなんだな」

「失礼でしょう、ちゃんと柊先生って言いなさいよ」

「おー怖い。でも、ちょっと直球すぎるだろ。いくら鈍感な先生でも気づいているぞ。好きな相手にはもっと押したり引いたりしてみないと」

「和宏に恋愛のアドバイスなんてしてもらいたくないし」

鈍感なのはどっちなのよ。思わず言いかけた口をギュッと閉じにらみつける。

「それに」と私は続ける。

「柊先生は教師という立場上、素直になれないんだよ。本当は私に熱い想いを抱いているのに口にはできない。それがわかるから、すごく切ないのよね」

想い続けていればいつかきっと振り向いてくれる。

そう思えば、また勇気がお腹に温かく灯るよう。

が、和宏はヘンな顔をしてポツリと言う。

「いや、あれは本気で嫌がっているぞ。お前、ほんと鈍感だな」

「なによ!」

私は和宏の頭を思いっきりはたいた。