「違わない。もうずっと前からわかってたよ。でも、結菜はちっともそれを認めないじゃん」

強い口調になってしまう自分をおさえることができなかった。八つ当たりもいいところだとわかっている。
傷ついたようにうつむく結菜を見ても、言葉があふれてくる。

「どうして私を気にするの？　結菜が和宏を好きならちゃんと伝えればいいだけでしょう。私を巻きこまないでよ」

「……そうだよね、ごめんね」

そう言うと結菜は駆けて行ってしまった。
追いかけようとしても足は動いてくれなかった。
私、すごく嫌な人になってる……。

結菜が恋心を大事にしていることを知っていたくせに、見透かされたような言葉に動揺してしまった。

ああ、なにをしているんだろう。教室についたらちゃんと謝らないと。
でも、なにをどうやって謝ればいいのだろう……。
自分でもよくわからない感情をどうやって言葉にすればいいの？