「私、刑事さんに知り合いがいるんです。今日だけは警察署に頼りませんか?」

私の提案に大輔はゆっくりと首を横に振った。

「……ありがとう。このあと連絡はしておくよ。見回りくらいなら匿名でも構わないと思う。それに……今夜はここにいたいんだ」

そう言ってから大輔は沙希の写真をやさしく見つめた。
悲しみの海のなかにいる大輔に私たちの声は届かない。
あきらめの感情に浸され、きっとなにも考えられないんだ。

その気持ちが少しわかる気がした。