ゾワッと背中を冷たいものが走った。
やっぱり犯人からのものだったんだ……。
これで沙希が裏BBSを見られたのが、犯人の指示だったことが証明されたことにもなる。

「このQRコードにアクセスはしましたか?」

言葉を失った私に代わり和宏が尋ねてくれたが、大輔はだるそうに一回首を横に振った。

「怪しげなダイレクトメールかと思って放っておいた。それに今はそんな気力もないよ」

「でも」と、 和宏が口を開く。

「実際に稲垣さんはこの手紙の犯人に殺されたかもしれないんですよ。色々聞かれるかもしれませんが、とにかく警察へ行きましょう」

私もそうするのがベストだと思った。
が、大輔は赤い顔でぼんやりと蛍光灯を眺めた。

「いや、警察には行きたくない。俺も昔いろいろ悪さしたことがあってさ……。あまり関わりたくないんだ」

「殺されるかもしれないんですよ」

身を乗り出して言う私に、なぜか大輔は少し笑った。

「君たちの話を聞くかぎりではそうらしいよね。ただ、俺にとっては警察のほうがよほど怖い存在なんだ。十分気をつけるから大丈夫だよ」

よほど疲れているのだろう、まるで他人事のように井口は言った。