部屋のなかはお世辞にもキレイとは言えなかった。コンビニの袋やビールの缶が散らばっていて、座る場所を探すのも大変なほど。
大輔はついていたテレビを消すと、小さなテーブルの向こうに腰をおろした。
蛍光灯の下で見る大輔は前に会ったときより疲れていて、目の下にはクマがくっきりと浮かんでいる。
長年付き合ってきた恋人が死んだのだからムリもないと思う。
カウンターの上にはいくつかの写真立てが置かれている。
そのどれにも沙希がいた。
「信じられないんだ。沙希が死んだなんて」
低音でつぶやいた大輔はあぐらをかいてビールのプルトップを開けた。
長年つき合っていた恋人がもうこの世にはいない。それが大輔を苦しめていることは明らかだった。
「私も信じられません」
「あいつ、いつも芽衣ちゃんのことばっかり話してたよ。まるで自慢の妹みたいに同じエピソードばっか……。きっと、うれしかったんだろうな」
少し目じりを細めた大輔は、まばたきと同時に笑みを顔から消した。
「あの日も出張に行く俺を駅まで見送りにきてくれた。まさかそれが最後になるって思わなくって、俺、電車の時間ばっか気にしてさ……」
「大輔さん……」
「バカだよな。出張から戻ってきたら、あいつ死んでやんの。もう会えないんだって。なんなんだよ、それ。こんなことありえないよ」
酔っているのだろう、大輔は机に両肘を置いて頭を抱えてしまう。
やがてのろのろと顔をあげ、ビールをあおる大輔に、
「井口さん、聞いてください」
和宏が口を開いた。
「稲垣を殺したと思われる人物から、次の殺害予告があったんです」
「殺害……予告?」
大輔はついていたテレビを消すと、小さなテーブルの向こうに腰をおろした。
蛍光灯の下で見る大輔は前に会ったときより疲れていて、目の下にはクマがくっきりと浮かんでいる。
長年付き合ってきた恋人が死んだのだからムリもないと思う。
カウンターの上にはいくつかの写真立てが置かれている。
そのどれにも沙希がいた。
「信じられないんだ。沙希が死んだなんて」
低音でつぶやいた大輔はあぐらをかいてビールのプルトップを開けた。
長年つき合っていた恋人がもうこの世にはいない。それが大輔を苦しめていることは明らかだった。
「私も信じられません」
「あいつ、いつも芽衣ちゃんのことばっかり話してたよ。まるで自慢の妹みたいに同じエピソードばっか……。きっと、うれしかったんだろうな」
少し目じりを細めた大輔は、まばたきと同時に笑みを顔から消した。
「あの日も出張に行く俺を駅まで見送りにきてくれた。まさかそれが最後になるって思わなくって、俺、電車の時間ばっか気にしてさ……」
「大輔さん……」
「バカだよな。出張から戻ってきたら、あいつ死んでやんの。もう会えないんだって。なんなんだよ、それ。こんなことありえないよ」
酔っているのだろう、大輔は机に両肘を置いて頭を抱えてしまう。
やがてのろのろと顔をあげ、ビールをあおる大輔に、
「井口さん、聞いてください」
和宏が口を開いた。
「稲垣を殺したと思われる人物から、次の殺害予告があったんです」
「殺害……予告?」