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私のつぶやきに和宏はエレベーターにさっさと乗りこもうとする。

「待って。もしも犯人がいたらどうするの? なにか武器とか……」

「武器?」

「そうだよ。戦えるものがないと不安じゃない?」

そう言う私の手を和宏は引いてエレベーターのなかへ招き入れる。

「大丈夫。なにかあったら俺が守ってやるからさ」

「……頼りにならないけどね」

茶化す私に和宏は「だな」と肩をすくめた。
エレベーターが上昇する浮遊感のなか、胸の鼓動が聞こえてしまわないか不安になった。
きっと和宏も怖いはずなのに、私を安心させようと言ってくれてるんだとわかる。
こんなやさしさを見せられると、誰だって気持ちが傾いてしまうよ。
いけない、とエレベーターの階を示すランプを見つめる。

今はそんなことを考えている場合じゃないんだから。

やがて四階についた私たちは部屋の前まで急ぎ足で進んだ。