歩き出す和宏。
追いつきながら私はスマホに登録されている鈴木刑事の番号を探した。
「鈴木さんに連絡しておく。なにかあったら電話する約束してるんだ」
「……たしかに、そのほうが心強いしな」
が、いくらかけても鈴木刑事の携帯電話はつながらず留守番電話サービスのアナウンスが流れるだけ。
「なんで出ないのよ……」
がっかりしてスマホをポケットに入れて私も先を急いだ。
「刑事って仕事は忙しそうだししょうがないさ。とりあえず犯人より先に井口ってやつに警告しないと。なんならそこから110番通報したっていい」
緊張した面持ちの和宏にうなずく。
さっきまでの悩みも吹っ飛ぶくらい、今は大輔のことが心配だ。
駅の手前にある大通りを左に曲がり、記憶を頼りに路地を抜ける。
一方通行の道の突き当たりに、心細い街灯のなか浮かびあがる古びたマンションがあった。
「なんだか不気味な」
和宏が警戒深く辺りを見回しているのを見て気づく。
ここに犯人がいてもおかしくない状況なのだ、と。
もう一度鈴木刑事の携帯番号にかけてみるが、やはり通じない。
「で、どこの部屋?」
和宏が尋ねるので、
「たしか四階だったような……」
記憶をたどる私。
ずらっと並んだポストを指で追うと、403の文字の下に〈井口〉と書かれた手書きのプレートがあった。
「これだ」
追いつきながら私はスマホに登録されている鈴木刑事の番号を探した。
「鈴木さんに連絡しておく。なにかあったら電話する約束してるんだ」
「……たしかに、そのほうが心強いしな」
が、いくらかけても鈴木刑事の携帯電話はつながらず留守番電話サービスのアナウンスが流れるだけ。
「なんで出ないのよ……」
がっかりしてスマホをポケットに入れて私も先を急いだ。
「刑事って仕事は忙しそうだししょうがないさ。とりあえず犯人より先に井口ってやつに警告しないと。なんならそこから110番通報したっていい」
緊張した面持ちの和宏にうなずく。
さっきまでの悩みも吹っ飛ぶくらい、今は大輔のことが心配だ。
駅の手前にある大通りを左に曲がり、記憶を頼りに路地を抜ける。
一方通行の道の突き当たりに、心細い街灯のなか浮かびあがる古びたマンションがあった。
「なんだか不気味な」
和宏が警戒深く辺りを見回しているのを見て気づく。
ここに犯人がいてもおかしくない状況なのだ、と。
もう一度鈴木刑事の携帯番号にかけてみるが、やはり通じない。
「で、どこの部屋?」
和宏が尋ねるので、
「たしか四階だったような……」
記憶をたどる私。
ずらっと並んだポストを指で追うと、403の文字の下に〈井口〉と書かれた手書きのプレートがあった。
「これだ」



